鈴音~生け贄の巫女~
01
「ん……、」
身体の痛みに耐えがねて起きた。
そんな気がするほどに、軋む体は悲鳴ばかりをあげている。
ぐ、となんとか腕に力を入れて上半身を起こして、その時点でもまだ瞼が開いてくれないくらいにだるかった。
まるで、睡眠薬でも飲んでしまったかのよう———……とは、眠ってしまっていた凛にはわからぬことだろうが。
事実、念のためと睡眠薬を飲まされ、この地下牢にある硬いベットの上に移されていたのだ。
「なに、これ、……ど、こ…?」
驚きに声がかすれる。
寝起き特有のものではない、ただただ驚きのために掠れたものだった。
確実に、おかしいということだけがわかることなれば、状況の把握は到底叶わぬ唐突なもの。
せめて周りに人は居ないのかと辺りを見回し、しかしてそれも叶わぬ。
よくよく思い返せば、最後意識のある時近くにはシンがいてくれたはずだ———……自分を守ってくれると言ってくれた、シンが。
けれども、その姿もまったく見えないとなれば不安であるだけではすまない。
「シンさん?」
返事が返ってこないとわかっていながらも、そう呼びかけずにはいられない。