孤独な天使に愛の手を。
「…ん…。」
目を開けると、もう部屋のなかに夕焼けのオレンジ色の光が射し込んでいた。
「椿…帰っちゃったんだ。」
無性に水が飲みたくなって、立ち上がりミネラルウォーターのペットボトルを手に取る。
ごくごくと飲んでいたら、着信があったことを示すランプが携帯の画面に表れているのに気付いた。
もう中学生でもスマホの時代で、こんな古ぼけた携帯なんて誰も使っていないんだけど…。
私はこの携帯をけっこう気に入っている。
「ぇ…。明王寺さん?」
なぜだか分からないけど、さっき別れたばかりの明王寺さんからの着信だった。
「まぁ確かに連絡が取れやすいように番号は交換しておいたけど…。」
一人で呟いても埒があかないと思った私は明王寺さんに掛け直してみることにした。