孤独な天使に愛の手を。
プルルップルルッと無機質な音が響く。
私はなぜか緊張していて、尋常じゃないくらいの手汗をかいていた。
『はい。明王寺です。』
「あ、西園寺です。あの、さっきお電話を頂いたようですが…。ど、どうかなさいましたでしょうか!」
は、恥ずかしいー。
らしくない言葉使いをしたからか、最後の最後で噛んでしまった。
穴があったら入りたい気分だ…。
『あぁ、西園寺さん。急に電話してごめん。』
明王寺さんは気にしている様子ではなくて、ホッとした。
『あのさ、俺ソファの上に忘れ物してないかな?』
「忘れ物、ですか?「
『うん、けっこう大事なもので…。ハンカチなんだけど。心当たりない?』
「ちょっと待って下さい、探してみます。また後で電話します!」