孤独な天使に愛の手を。
ガチャッと電話を切ってから猛ダッシュで客間へ向かう。
ソファの隙間やら下などを探っていたら、肘おきの所にポツンと忘れられているハンカチがあった。
「これ、だよね…。」
すごく綺麗なハンカチ。それに見事な刺繍が施されていた。
「多分人の手で施されたんだろうな…。だってすっごい優しい気持ちが伝わってくるもん。誰かを思いながら作ったのかな…。」
薔薇の刺繍が所々に入り、明王寺の「M」が刺繍されているハンカチ。
「…教えてあげなくちゃ。」
携帯を取り出して、明王寺さんに電話を掛ける。
『西園寺さん?ありましたか?』
「はいっ!すごく綺麗なハンカチですね。」
『ありがとう。そしたら、これから会えないかな?見つけてくれたお礼がしたいし。』
「えぇ!いいですよ、それくらい。」