ナ ニ モ ナ イ ト コ ロ【思集】
相も変わらず、風はやかましく、切るように冷たい…

僅かな光に優しさを感じるものの、目を見開く事等到底出来そうにない

騒音のようにも聞こえるごうごうは、止めたはずの思考をまた知らぬ間に動かし、耳にぶつかって音を出しているのだと気付く

そのものに音等なく、自分にぶつかり初めて、鬱とうしい音を出すのだ…


─いつまで降れば気が済むのだろうか…


冷たい雪は、もうかれこれ永遠とも思える程ずっと以前から降り続け、これでもかと言う有り様には、


─空の雪はやけに沢山あるのだな


と、馬鹿げた妄想にまで及ぶ始末だ

もちろん見る限り、大地を埋め尽す程の雪が大量に存在するようには見えない

そんな現実からずれた、粋狂な事まで考えてしまう自分が可笑しい

防寒具の一つでも身に付けてくれば良かったのだが、割りと急ぎ足でここまで来てしまった

こんな事なら、最低限の準備もしておくべきだったと悔やんでも、今更どうする事も出来やしない

見事なまでに、東西南北、四方八方、同じように真っ白になってしまい、

─どうしたもんか…

と、途方に暮れる

もちろん、方角などすでにわからない


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