ナ ニ モ ナ イ ト コ ロ【思集】
しかし、立ち止まってばかり居ても事態は変わらない
いや、変わらないのは景色だけだ…
事態も然程変わりはしないのだが、この雪は『今』をいずれは閉じ込めてしまうだろう
死してくち果てて行くのであればまだ良いが、死して尚、今をそのままに閉じ込められる事に恐怖すら感じる
このままでは、ただ形を留めたまま熱を失い、弾力を無くし、思考が停止し、意識が消える
果てる事すら出来ない、人の形をしたただの固体に変わるのだ
そして、冷たい雪に埋められ、風に隠され、人知れず大地の見えざる所に、ただ『有る』だけの物体に変わるだけだ
──恐怖だ
ならばどうするか…
これ程までに考えるという事の無意味さを感じる事はない
来た道も白、行く道も白
風はごうごうと
雪は深深と
留まる事に感じるのは、末恐ろしい恐怖…
今にも閉じかけた目は、まだ微かに細く開き、前方と定めた場所を見る事が出来る
小さく声を発すると、喉を鳴らして音が響く
響く音を聞いているのはこの耳である
こんな時、『鼻が効けば』いいのだろうが、そうは旨くもいかないものだ
いや、変わらないのは景色だけだ…
事態も然程変わりはしないのだが、この雪は『今』をいずれは閉じ込めてしまうだろう
死してくち果てて行くのであればまだ良いが、死して尚、今をそのままに閉じ込められる事に恐怖すら感じる
このままでは、ただ形を留めたまま熱を失い、弾力を無くし、思考が停止し、意識が消える
果てる事すら出来ない、人の形をしたただの固体に変わるのだ
そして、冷たい雪に埋められ、風に隠され、人知れず大地の見えざる所に、ただ『有る』だけの物体に変わるだけだ
──恐怖だ
ならばどうするか…
これ程までに考えるという事の無意味さを感じる事はない
来た道も白、行く道も白
風はごうごうと
雪は深深と
留まる事に感じるのは、末恐ろしい恐怖…
今にも閉じかけた目は、まだ微かに細く開き、前方と定めた場所を見る事が出来る
小さく声を発すると、喉を鳴らして音が響く
響く音を聞いているのはこの耳である
こんな時、『鼻が効けば』いいのだろうが、そうは旨くもいかないものだ