ナ ニ モ ナ イ ト コ ロ【思集】
+ 涙の味、記憶
流した涙は久しく
伝う頬の道すら忘れ
唇に辿り付いた
幾度と舐めた
君の流した涙
俺の瞳はその違いを
確かめろとばかりに
次々と涙を唇に運ぶ
音 匂い 味
そんな感覚が記憶と
からみ繋がっているのなら
俺の記憶から彼女の流した
涙の味を奪い去り
流したくも舐めたくもない
自分の涙の味で埋めろ
そう言うのか?
なら忘れる位にもっと
もっともっともっと
沢山の涙を流してくれ
自分の涙に溺れてしまい
彼女を思い出せなくなるまで
もっともっともっともっと
まだ彼女は
俺の中に居るよ
笑夜