朝が来るまで
「やっとみつけた。」
信号が青に変わり、あいつが近寄ってくる。
「なんでここにいるんだよ?」
「探したんだよ?」
「……」
俺が何も言えずに黙っていると
彼女は無邪気に…
悪戯っぽく笑い
「家出少年、啓太君。とりあえずファミレスでも行かない?」
いつもの笑顔の彼女に心が温かくなった。
「さんせ~い。行こう」
俺も自然に笑みがこぼれた。
通話を切り、携帯をポケットにしまう。
さっきまで携帯を握っていた手で
今度は彼女の手を握る。
俺と電話をしながら探していた彼女の姿を想像すると
ついニヤけてしまう、かっこ悪い俺。
わざと話の内容を忘れたとか言って
電話をのばしていたのかもしれない
そんなの俺の勝手な想像だけど…
彼女の笑顔をみるとそれまでの
何かのイライラや孤独感が吹っ飛ぶ。
心のモヤモヤした気持ちがだんだんと晴れているとき
親からのメール。
【愛里ちゃんに迷惑かけちゃダメよ。明日は休みだから今日は特別。啓太の気が晴れるまで自由よ】
そんなメールと、今目の前にいる彼女のおかげで
まんざら悪くない今日、夜に…
乾杯でもしようか。