ぱんつのおかず

垂れかけた鼻すすって、あわててこふじのとこに向かう。


教室より一段ひくい廊下に、立っとるこふじ。


いっつもよりさらに、チビっこく見える。



「セッチ」

「…なんや、いきなり……」



ふだん、こんなことめったにないから。


教科書忘れても、絶対おれに借りにくることなんかないから、めっちゃビビった。


けど焦るんかっこ悪いから、わざとぶっきらぼうな声出す。


そもそも鼻つまっとるから、どうあがいても、さわやかボイスにはならんのやけどな。



「…あ……もしかして、カゼ?」



おれのこと見上げて、気まずそうにこふじが聞いてくる。



「…っ、あーそうそう、お前にうつされてん!!さっすがお前の中におった菌やな、朝から寒気とくしゃみ止まらんわどないしてくれるねんホンマ」

「………ごめん」

「…え。………いや……べつに………ウソ、やんか…」



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