ぱんつのおかず
あわてて取り返そうとするけど、先生はノート高くかかげて、まったくもって届かへん。
ピョコピョコ跳んでも届かへん。
クラスのみんな笑ろてるけど、ちっとも笑える状況やない。
「あーっ!!先生スミマセンゴメンナサイ本当に申し訳ないもうしません返してくださいっ!!」
「無理」
「無…っ!?アカンねん先生それほんまアカンやつ…!!」
「えーっと?最近の悩みはおさなな…」
「わーわーわーわー!うーなばぁらぁのーっのーぞむーおかーにーっ!」
必死に声はりあげて、歌った校歌。
「──先生」
でもすぐ、ピシッとよくとおる声が、ふたつまとめて黙らせた。
先生の朗読も、ウチの歌も。
びっくりして振り返る。一番後ろの席。
クラスメートの玉木くんが、ちっとも笑ってない顔でこっちを見てた。