ぱんつのおかず


表情がかげって、どんな顔しとるかわからんくなって、でも。




「…っ、おれのこと、そんな嫌か」




手のひらの向こうで、泣きそうな声が、聞こえた。



空気をうまく吸い込むこともできん。


そんな自分の口が返せる言葉は、なんもなくって。



セッチがほかの人とくっついてほしいかーて聞かれたら、それは。


それは、ちがうくて。



くっついてほしくない。


くっついてほしくないけど、ウチともくっついたらアカンよ。



…だって、そしたら、なくなってまうもん。



ふいに、カオちんと一緒に見た昔の写真が頭に浮かんだ。


満面の笑みで、並んで写っとった、セッチとウチ。


難しいアイとかコイとか、そんなんは間になくて、ただ純粋にな。


家族みたいに、大事やった。


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