ぱんつのおかず

それを捨てて、賭け賃にして。


いつまで続くかもわからん彼氏彼女になるなんて、ウチにとったらえらい博打やで?



一回コイビトんなったら、おさななじみには、もう二度と。



一生、戻られへんのやもん。




「…っ、あ…あれ」




気づかんうちに、涙がポロ、て、こぼれとった。



…追いつかへんねん。



突然生まれた、はじめての気持ちに。なにもかも追いつかへん。




「…なんで、泣くねん……」




はぁ、て、深いため息が聞こえた。



真夏の太陽に、昼のあいだに全部水分持っていかれてもとったんか。


まわりの空気はカラッとしとって、喉の奥がひりついた。


ヒリヒリして。痛くて。


痛くて、視界はぼやけて。まわりの音も、ぼんやりして。


それでも、ザッて。コンクリートと足底が起こした摩擦音だけは、ハッキリ聞こえた。


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