ぱんつのおかず
わけのわからん言い合いから、数秒たったとき。
くしゃ、って。セッチは、めっちゃ悔しそうな顔んなって。
頭、わしゃわしゃかいて。
「……もう、ええわ………」
ぽつん、て。そうこぼしてな。
ウチに背中向けて、歩いて行ってしもた。
「…えっ、セッ……、」
呼びかけようとしたけど、出てったのはかすれ声だけ。
さみしそうなおっきい背中が、どんどん遠くなっていく。
さんざん見てきた、セッチの背中。
昔っから。赤ちゃんのころから。くさるほど何回も、並んで歩いた。
追いかけたり、追われたりして、一緒に育ってった、男の子。
行ってまう。
…セッチ、行ってまう。
「……っ、」
なんで、ウチは。いっつも、こんな。
気持ちと真逆の行動、してまうの。
『今の気持ち、大事にできるんは、今の藤田さんだけやんか』
せっかく、教えてもろたのに。気づけたのに。
なんでまた、さっそく逃げようとしとるん。