男子校は甘いワナだらけ!?~俺様なアイツとキケンな恋~
――ゴンッ!
あたしと平塚くんに挟まれたマイクから鈍い音が漏れる。
「イヤー!」
「やめてー!」
女の子達の悲痛な声が聞こえてくる。
「返事はまだいらないから……俺にも少しくらい、チャンスちょーだい?」
あたしだけに聞こえるように、甘く囁く平塚くん。
み……耳がくすぐったい……!
……ってか、チャンスって?
まるで……平塚くんは既に負けてるみたいな言い方……。
『上手くいったのでしょうか?』
司会者の人が困ったように首を傾げる。
『秘密です』
司会者の人からマイクを奪った平塚くんはそれだけ言うと、あたしの手を引いてステージから下りた。