男子校は甘いワナだらけ!?~俺様なアイツとキケンな恋~
坂を下る時に絶対通らなくちゃいけないのは、桐山男子の校門前。
あたしは校門前にいる生徒に目もくれず、足早に通り過ぎる。
……はずだったのに。
「知紗ちゃん!」
名前を呼ばれたら、つい振り向いてしまうよね。
「これから暇?」
ニコニコ笑うヤツ……井岡篤樹があたしに近づいて言う。
馴れ馴れしいその笑顔がムカつくはずなのに、なぜか胸が高鳴る。
しかも、『暇じゃない』って言えばいいのに、あたしは……。
「ば、バイトはないけど、でも……」
「じゃあ、よかった!」
バイトはない、ってことを先に言ってしまった。
……ってか、『じゃあ、よかった』ってなに?