鬱になれる短編集
――親友は、泣いていた。

私を乗せた銃を胸に抱え込んで。膝は力を失い、立て膝になった。私が初めて見る彼の表情だった。

しかし。
長い間付き添ってきた私には彼の泣く理由がわかる気がする。
私を隊長から受け取ってから。部隊壊滅で一人だけ生き残り、裏切り者と認識されてから。そうして一人で闘い抜くと決めてから。

私は一緒だったのだから。
わかる。
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