鬱になれる短編集
「こんなところで一人……大丈夫ですか……?」

かなり不健康な声だった。喉に痰(タン)がいつもひっかかっているように、かすれた低い声。肌は病的に青白い。
聞いていると、喉に軽い障害を持っているそうだった。最近治ったとも言っていた。女の子はそんなことに興味を持たなかった。道には荷台のある車の運転手を殺すのに、ちょうどいい石があった。

「町に行きたいんだろう……? なら乗っていくといい」

女の子は石から視線を切って、名案を思い付いた。
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