鬱になれる短編集
まぁ、塔みたいだわ、と女の子は思った。
変形した人間を崖の前に崩れないように重ねていくと、高く、高くなっていった。
自重に耐え切れずに喉(ノド)を見せるものや、目を見開きこちらを凝視するものがたくさんあった。

女の子は積み上げた人間を踏み付けながら登っていく。若菜を得るために。大好きな父親を治すために。
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