鬱になれる短編集
「希望を見つけましょう。現実に酔っていてはいけません。世界の中枢に行くのです。三葉さんはわたし、クロラがサポートします。そこでは紛争はなく、平等で光が満ちています。目指すべきはすぐそこです」
暗闇の中で三葉の体を浮き上がらせるのは目の前のディスプレイだけだった。
ディスプレイにはキャラクタライズされた少女が映っていた。少女はクロラと名乗った。
ディスプレイを光源に暗闇を調べたが、どこにも隙間はなかった。わかったのは、小さな球体の中だということだけだった。