鬱になれる短編集
「参加者が定数に達しましたので、出立します。恐れる必要はありません。世界の中枢では皆、平等です」
揺れた?
そんな気が一瞬しただけで進んでいるとか沈んでいるといった感じはしていない。慣性の法則で圧力を感じないだけかもしれない。
参加者が定数というのもよくわからない。人質は複数いるという意味だろうか。
続けてクロラは言った。
「テストを行います。世界の中枢には限られた人しか入ることができません。このテストに失敗した人は宇宙空間に投げ出されることになります」