鬱になれる短編集
「ぶぶー! 三葉さんはテストに失敗しました。この装置はまもなく機能を失い、プレイヤーは宇宙空間に放り出されます」
絶望。
空気を失った風船のように体がしぼんでいく。
賭けに負けたのだ。
きっと最後の数字は五ではなかったのだ。
三葉と呼んでいた名前がプレイヤーに変わったのは、もはやお前は人でないというクロラの意思表示だろう。
せめてもの慰めを。
闇にそれを求めるのはまったくの愚昧だったがそれでも、人は恐怖から救われるためなら三つ指ついて懇願するのだ。
助けてくれと。
人を呑み込む存在である闇はクロラという光で三葉を呑み込めずにいた。
クロラは光を自ら断った。
三葉に絶望を。
最後に笑ったクロラの顔は虚飾の笑みに満ちていた。
闇が訪れる。静寂で静謐な。
狭い空間だったここをとても広く感じる。死ぬのだと泣き叫ぶうちにゆっくりと光が差した。