抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。




〜♪〜♪




来たっ!





震える手でボタンを押した。




『もしもし…?』




『暁さん?俺だけど。』




電話越しに聞くその声は、普段よりもワントーン低く、深夜のせいか、胸に響いて聞こえる…。



『あっ、純くん?なんか、ごめんね?急に電話したいなんて言って…。迷惑じゃなかった?』




『そんなことないよ?暁さんこそ、大丈夫?何かあった?俺と話したいって言うから、気になって。』





『そういう訳じゃないんだ。何となく…その…声聞きたくなって…。』





『暁さんて、カワイイこと言うね♪俺も声聞けて嬉しいよ?』




よかった…。




迷惑だったらどうしようかと心配してたから、安心した…。




純くんの言葉を信じよう。



私の声が聞きたかったこと。


私を心配してくれたこと。



そして…。




純くんが私を想ってくれていること。





恋人にはなれないかもしれない。




夫婦にもなれないかもしれない。




でも、形にこだわることなく、お互いの気持ちが通じ合っていれば、それだけでいい。







< 110 / 287 >

この作品をシェア

pagetop