抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。
すれ違い
過ち
俺は自らの手で、壊した…。
ある日、大学時代に働いていたバイト先の女将さんに偶然会った。
ちょうど、司と飲みに行こうと街を歩いていたところだったので、女将さんの店に行くことにした。
2年前、俺はこの小料理屋でバイトをしていた。
2年前と何一つ変わっていない。
女将さんも、相変わらず綺麗な人だ。
店に入ると、そこに1人の少女がいた。
『あれ?女将さんあの子…』
『あぁ。先月から手伝いに来てる可愛ちゃんよ?可愛ちゃん。ちょっとこっちに来て?』
『はじめまして。橘可愛です。』
『この子ね?あなたと同じ大学の看護学生なのよ?まだ一年生だけど。』
橘 可愛と名乗るその子は俺の大学の後輩だった。
一年生ってことは、まだ10代。
高校を卒業したばっかりで、まだ化粧にも慣れていない感じの物静かな子だった。
この日は客もあまり入らず、久しぶりに会った女将さんと橘 可愛と4人でいろんな話をした。
帰り際、女将さんが『またいらっしゃい。』と握手をしてくれた。