抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。




会社へ着くと、俺はなぜか安心した。




そこにはあいつの…暁の笑顔があったから。




『おはよ。』



『おはようございます。』




会社では挨拶程度しか会話をしない。




だから、『おはよう』『お疲れ様です』の一言にすごく心を込める…。




いつも通り挨拶を交わし、俺はエレベーターを待っていた。



俺は新人な為、早い時間に会社に行く。だから、まだ会社には人がまばら。




すると、後ろから俺をつつく人がいる…。




振り向くと、不貞腐れた顔の暁がいた…。




『どうしたの?』




『昨日、メール来るの待ってたんだよ?』



『あ、昨日飲みに行ってたから…。それに、いないって知らなかったし。』




『そうだけど、遅くなってもいいからメールちょうだいって書いてあったでしょ?』




『…寝ちゃったんだ。ごめんね?』




『心配してたんだから。』



そう言うと、暁は俺の前から去っていった。



後ろから人がやってきたから…。




『…はぁ。』



俺は軽いため息を洩らし、エレベーターへと乗り込んだ。








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