抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。



ここの料理は旨い。



女将さんとの会話も弾み、すっかりほろ酔い気分。




『純くん。いい子出来た?』



女将さんの一言で、俺は我に帰った。



『…いやぁ、別に…。』



昔から、悩み事があるとすぐに相談していた…。



でも、今回ばかりは…言えない。





『あの子…可愛ちゃんはどう?あの子、こっちに越してきたばかりでまだお友達も少ないのよ。お友達になってあげてくれない?』




あの時の、女将さんの言葉が…すごく寂しそうだった。




大事な娘を心配する母のような…。





『…いいっすよ?これ、俺の名刺なんで、何かあったら連絡下さい。』




友達だ…。




友達なら、いいだろう?




なぁ、暁…。




なんか、言ってくれよ…。




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