抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。
玄関の鍵を開け、部屋へと入る。
冷蔵庫から缶ビールを出し、一気に飲み干した。
その時、携帯が鳴り出した。
『もしもし?』
『…純くん?暁です…』
暁だった。
さっきまで可愛ちゃんと一緒にいて、たった今キスしたばかりで…
俺は何故か急に罪悪感にかられた…。
『おっおぅ。久しぶり。』
『何回もメールしたんだよ?今どこ?』
『家だよ?風呂入ってたから。』
暁に嘘をついてしまった…。
『そうなんだ…。忙しいなら切るね。ごめんなさい…。』
今しかない。
暁に全てを話し、別れを告げるのは…。
『あのさ…もしかしたら…もう知ってるかもしれないけど…。』
『なに?』
『俺…暁がこの前見たあの子と…』
『イヤ!聞きたくない!!』
『頼むから聞いて?俺から言わなくても、明日司から聞いちゃうと思うから、それなら自分から言いたいんだ。』
『ヤだよ!だって、私にとって良いことじゃないもん!』
暁は…泣いていた…。
だけど、もう言うしかないんだ…。
『俺、彼女がいる。』
その瞬間、電話が切れた…。
暁が切ってしまった…。
これでいいんだ。
こうするしかなかったんだ…。