抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。
そして、バレンタイン当日。
恋をする女の子が一番輝く日。
実夏も、今日は一段とメイクに気合いが入っていた。
『暁〜!どうしよう!緊張してきたぁ!!』
実夏は純くんに恋をしてから、ますます綺麗になった。
女の子は恋をすると、綺麗になるのは本当なんだ…。
すると向こうから楽しそうに話す純くんと司くんがやってきた。
『暁!来たよ!話しかけて!!』
えっ…私が話しかけるの…?
純くんに話しかけられない私は、司くんを呼び止めた。
『あっ、司くん。』
『あっ、暁さん!どうしたんすかぁ?あっ、まさか俺にチョコとか!?』
『そうなんだ〜。ハイ、義理チョコ。』
『なぁんだ、義理チョコかぁ。でも、嬉しいっす!』
『…これ…。義理だから…。』
『…おっおう。ありがと…。』
久しぶりに話した…。
純くんはますますかっこよくなっていた…。
ドキドキドキドキ…。
『…ほ、ほら!実夏も!』
『…あっ、純くん!これ、チョコ。』
『あっ、わざわざすいません。ありがたく戴きます。』
『あっれぇ〜?実夏さん俺にはないの!?』
『ごめん!!忘れた!!』
『マジかよ〜!!かなりショックなんですけどぉ。やっぱ、純には負けるな。』
『なぁに言ってんだよ!はははっ。』
笑った…。
その時、純くんと目が合った…。
純くんは、2人に気づかれないように、ニコッと笑い…口パクでこう言ってくれた…。
『さんきゅ。』