抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。
土曜日だった。
仕事が休みの私は、朝から家事に追われていた。
掃除に洗濯、買い出し…。
午後は娘をお昼寝させる…。
かわいい娘の寝顔を見ながら…。
私は…泣いていた…。
この子を守らなきゃいけないのは私なのに…。
なのに…自らの手で彼女の心に深い傷をつけてしまった…。
『…お前泣いてんの?』
夫が私に気づいて寝室へ入ってきた。
『…パパ…ごめん…一晩考えたいの…だから、この子をお願いします…』
『はぁ!?お前何言ってんの!?ふざけんなよ!!』
『お願いします!一晩考えたら帰ってくるから…。』
『一晩って、どこ行くんだよ!!』
『わからない…。でも、このままじゃ私、生きたままの死人だから…。必ず帰ってくるから…。最初で最後の我が儘を聞いてください…。』
『…わかった。いや、わからねぇけど、とりあえずわかってみるわ。その代わり、必ず帰ってこい。待ってるから。』
夫の口から初めて聞いた、『待ってるから』の言葉…。
もしかしたら、夫はこの世で一番私を愛してくれているんじゃないか…。
夫の本心に、私はまだ気づいていなかった…。
正直、夫が許してくれるとは思わなかった。
夫も、また、何かしらの覚悟をしていたんだ…。