抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。




『…あのね…?』




私は純から離れ、純の顔を見た。




『どうした?』






『…私…もう終わりにしたほうが良いと思うの…。』





純は…驚いた顔をしている…。




『…これ以上、みんなを傷つけられない…。純の事は今でも愛している。だからこそ、純には幸せになってもらいたいの。私といたら…純は不幸になる…。だから…。』





必死に涙を堪えた。




涙を流せば、また純が優しく抱きしめてくれるから…。




もう、純には…頼れない。



『…本気か…?暁の本心…なのか?』





『…うん。ごめん…。』





『…俺…やだよ。本当はいやだ。だけど、暁が決めたなら、仕方ないね…。』






純が…泣いている。





一瞬、気持ちが揺らいだ。



でも…ダメ。





こうするしかないんだよ…。






今日で…さよならなんだよ。







< 261 / 287 >

この作品をシェア

pagetop