お見合い
それから余裕が出てきて、窓の外を楽しむことが出来た。
それが又余裕を生んだ。

「お待たせ致しました」

その低い声はなんだか聞き覚えのある声で、ゆっくり振り向くとそこに立っていたのは梓のお父さんだった。
隣に座ってた玲子さんが静かに立ち上がったから私も立つ。

「梢ちゃん、久し振りだね」
「ご無沙汰しています」

軽くお辞儀をしてから顔をあげると、おじさんの後ろに男性が立っていた。
一気に緊張が襲ってくる。

「紹介しよう。篠塚 宏太郎君だ。宏太郎君、こちら関村 梢さんだ」
「初めまして、篠塚 宏太郎です」
「ぁ、初めまして。関村 梢です」

こげ茶色のスーツに身を包んだその人は、なんとも清潔感たっぷりで、顔からして頭の良さそうな人だった。


「ささ、座りましょ。美味しいランチが待ってるわ」

玲子さんの声に又ひどく安心出来た。
それから私の前に篠塚さんが座って、玲子さんの前におじさんが座った。
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