うしろの正面だーあれ vol.2
愛
懐かしい風景が一喜を包む。
しかしその顔に、哀愁は無かった。
「沙良‥」
ニヤリ、不気味な笑みがこぼれる。
「愛してる‥愛してるよ沙良‥」
目を閉じ、沙良と過ごした時を反芻する。
「…沙良がいけないんだよ。僕の元から離れるから。
僕と一緒にいれば、こんな面倒なことにはならなかった。
…悪い子にはお仕置きが必要だな。」
クックックッ、溢れた笑みは冷たい音色を奏でた。