うしろの正面だーあれ vol.2
ピンポーン‥
インターホンを鳴らす。
僕は笑顔を張り付ける。
しかし、応答が無い。
「沙良はもうその家には居ねぇよ。」
右手をポケットに突っ込み、左手で煙草を更かしながら佐古は言った。
「沙良はどこへ行った。」
低い声で一喜が問う。
「お前が出所する前日に、跡形も無く消えたよ。…まるでお前という悪魔から逃げるようにな。」
クックックッ、乾いた笑い声が響く。
「僕から逃げられると思うなよ?…地獄の果てまで追い掛けてやるよ。」
アハハハハハハハ!
狂ったように笑う一喜を、佐古はおぞましい物でも見るかのように眉をひそめた。