うしろの正面だーあれ vol.2
僕達兄弟が叔父叔母の家に来たその日から、僕は仮面を被るようになった。
愛想の悪い憂が、唯一僕らを育ててくれる叔父叔母に捨てられないように、僕は精一杯良い子を演じた。
必死で勉強し
いつも笑顔を絶やさず
誰からも好かれるように。
「親がいないから」とは、絶対に言われたくなかった。
その言葉を、憂には絶対に聞かせたくなかった。
憂を守れるのは僕だけだ。君には荷が重すぎる。
憂を守るのは僕だけだ。君は小さすぎる。
憂を守るのは、僕だ。君じゃない。
君じゃないんだよ、沙良。