うしろの正面だーあれ vol.2
沙良が過ごしてきた部屋の窓を見つめる。
いつも、いつも見つめていた。
この家の前を通る度。
彼女の姿を探して。
いつ頃からだろう。
全てを支配しないと気が済まなくなったのは。
彼女の部屋に盗聴器とカメラを仕掛け、沙良の全ての行動を把握していた。
いつ頃からだろう。
僕が狂ってしまったのは。
良い子の仮面を被ることに疲れてしまったのだろうか。
自分でも気付かない程の相当なストレスを、僕は抱えていたのかもしれない。
守らなければならない大切な弟と、好きな人。
彼女の想いは見えていたし、邪魔をしようなんて思っていなかった。
沙良が、あんなことを言うまでは。
『一喜君が彼氏だったら幸せなのにな‥』