うしろの正面だーあれ vol.2


「この手が憎い…」


ガンッガンッガンッガンッ…


青年は、冷たいコンクリートに自身の拳を幾度となく打ち付けた。


次第に血が滲み、赤く腫れていく。


そんな痛みにも構わず、青年は自身を痛めつけた。


監守に止められても、青年は自身の手の甲の肉を噛みちぎる勢いでかぶり付いた。


「この手がっ…!
憂を奪った…!!」


悲痛なその叫びは、毎夜の如く聞こえていた。


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