うしろの正面だーあれ vol.2
ドンドンドン!ドンドンドン!
「パパ!開けてよ、パパ!!」
暗い地下で、杏奈は一喜の予想通り閉じ込められていた。
釈放されてすぐ、父親は有無を言わせず杏奈を地下へ放り込んだのだ。
まるで煩わしいものでも見るように、父は娘を見た。
「大変なことをしてくれおって…」
杏奈の父は、大企業の社長だった。
金で揉み消したは良いが、社長の娘が犯罪者等と騒がれては迷惑極まりない。
しかし、彼はさすが杏奈の父親ということだけある。
そのスキャンダルさえも、ピンチをチャンスに変えようとしていたのだ。
もっとも、かなり非道なやり方ではあるが…。