うしろの正面だーあれ vol.2
その日の内に事は収まったようだ。
父親がこれまで以上に多額の寄付を約束し、妃鶴のカンニング行為は無かったことになった。
妃鶴は自身の手首に数式を書き込んでおり、それを見た者はおらず、カンニングペーパーは存在しない上、天才の彼女がカンニングなどするはずがないと、教師の早とちりで収まった。
何より彼女の人柄が、クラスメイトをそう思わせた。
そして試験結果が発表される日。
合否通知が自宅に届く。
先に開けたのは妃鶴だった。
チラリと覗き見る。
当然、合格だった。
カサ‥
開いた紙切れを手に、幸亀は呆然とすることになる。
不合格の3文字が、幸亀を絶望の谷へと突き落としたのだ。