うしろの正面だーあれ vol.2
僕は三流と呼ばれる別の高校に進学し、妃鶴はそのまま高等部へと上がった。
両親からの、僕に対するそれ以上の期待を一身に負う妃鶴と、見離された僕。
不公平だと思った。
存在をも抹消され、両親が僕に話しかけることは愚か、目すら合わせてもらえなくなっていた。
そんな僕に、唯一笑顔を向けてくれるのがまだ幼い杏奈だった。
両親がいるときは、空気を察して近寄ってはこないが、僕が部屋に戻ると杏奈が訪ねてきて、満面の笑みを見せてくれた。
杏奈だけが僕の救いだった。