うしろの正面だーあれ vol.2

彼らと出会ったのは、大学の入学式。

退屈で長い式の最中、何気なく周りを見ていると男の子とパチッと目が合った。

慌てて逸らすも、気になってもう一度見る。

整った顔が、凛々しい目が、一直線に自分を見ている。

 
どうしていいか分からず、目は泳ぐばかり。

顔からは炎が出そうなくらい赤く燃え上がっている。

そんないっぱいいっぱいの楓に反して、彼はクスッと小さく笑った。


式が終わると、先程の男の子の姿を捉えた。

そこにひょい、と入ってきたのは、髪の長い女の子だった。

ウェーブがかった柔らかそうな長い髪が、とてもよく似合っている。

2人はすごくお似合いで、誰も割って入れないような雰囲気を醸し出していた。


「あ、ピュアガール」

げ、と思った。

イヤな奴に目をつけられたんじゃないのかと。

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