うしろの正面だーあれ vol.2
翌朝――
電車を降り、時計を見る。
授業が始まるまで、まだまだ余裕がある。
街並みを眺めながらゆっくりと歩を進めた。
大学の門をくぐる。
ふわ、と後ろから風が吹く。
すぐ隣を自転車が駆け抜け、追い越していく。
その姿に一瞬ドキリとする。
タケちゃん…
「あ、楓じゃん」
振り返ったのは、タケルではなく渚だった。
――私ってば、どうして…
カッと顔が熱くなる。
「どうした?顔、真っ赤だぞ?」
そう言って、渚はおでこをくっつけた。
至近距離に渚の顔がある。
恥ずかしくてびっくりして、息が出来なかった。