うしろの正面だーあれ vol.2
崖の上の少女
耳をつんざくような蝉の鳴き声の中、駅から少し歩くと海が見えてきた。
波に反射した陽の光が、キラキラとまばゆく照らしている。
「ね~!ここに荷物置こ~!」
先に走っていった晴香が手招きする。
「あっつい!!なんか飲み物買ってくる!楓は何にする?」
「あ、えっと…ウーロン茶」
楓が答えると、晴香は渚には何も聞かずに海の家へと歩いていった。
ぽつん…と2人、残される。
「あ、座る?」
「あ、うん」
なんだかギクシャクしたままストンと腰を下ろす。
晴香が帰ってくるまで、それ以上一言も話さなかった。