うしろの正面だーあれ vol.2


「やっと、来れたな…。」


青年は荷物を下ろすと、自身もしゃがみこんだ。


「憂…。」


墓石に触れる。


青年は壊れそうな硝子細工を触るかの如く、優しく、少し躊躇いがちに撫でた。


「ずっと来れなくてごめんな。
…お前を殺した人間になんて、来てほしくないかもしれないけど。
俺は…ずっとお前に会いたかった…。来て謝りたかった…。」


膝を掴む拳に力が入る。


「謝って、自分がスッキリしたいだけなのかもしれないけど…。
俺は…お前を殺すつもりなんてなかったのに…。」


噛み締めた唇は痛い。


溢れる涙は温かい。


生きた人間の証…。


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