なつみかんの花びら
今日は遊んだ後、ふたりで木に登った。
「おー、綺麗」
夕暮れを木の上で見る話だったのに。
な、と柑夜に声をかけつつ向くと、こっちも空も見ていない。
そわそわ、そわそわとどうしたんだろう。
「柑夜?」
「蜜樹くん、ち、近くない?」
「え、そんなこと……って危ない!」
「ひゃあっ」
何故か落ちかけた柑夜を引き上げた、その反動で落ちていく僕。
柑夜が無事でよかったと思ったのもつかの間、恐怖に呑まれた。
「うわあああっ」
柑夜の顔が紅で見えなくなった。