なつみかんの花びら
──そんな優しいこと言われるなんて、聞いてないです。
そんなの予告しててくれなきゃ……泣きたいくらいに嬉しいことがばれてしまうじゃないですか。
わたしは、変わっているのです。
友だちは多い方ではないし、騒がしいし、インドアだし、ダサいし……でも。
それでも、友だちになれるのでしょうか。
「さん付けなんて他人行儀なことやめましょう。ね?」
きっといいんでしょう。
だってほら、彼女はこんなにも優しい。
人を見る目は鍛えられてきたわたしの目と。
蜜樹くんを信じます。
「うん。花音、ちゃん。
蜜樹くんを、わたしの初恋の人を、幸せにしてね」
「もちろん。
私も一緒に幸せになりますよ」
ふたりで笑い合い、わたしには友だちが増えたのでした。
そうして、わたしの恋愛重要度は下がり、夏樹との関係は長い間、変わらなかったのでした。