なつみかんの花びら
「うぅ。ごめんね。
せっかくの誕生日なのに……」
そう。今日は七月二十七日。
記念すべき、夏樹くんの十八歳のお誕生日。
ちなみに言うと、約三週間後の八月十八日。
夏休みの終わり際がわたしの誕生日なのです。
俯いていたわたしの髪をくしゃりと撫で、彼は変わらない笑顔で言いました。
「別にいいよ。片づけるぞ」
「……うん」
彼の姿をじっくりと見つめます。
ああ。
──────好きだなあ。