なつみかんの花びら
六年前。
蜜樹くんとの思い出の場所を夏樹くんと巡って。
再会して。
告白なんかもされちゃって……。
今でも鮮明に思い出すことができる。
肌に吸いつく川の水の冷たさ。
夢中になって摘んだキイチゴ。
切ないほどに綺麗に咲いたひまわり畑となつみかんの木。
何よりも白いなつみかんの押し花。
零れ落ちそうな星の欠片。
そして、甘くて酸っぱいなつみかんの香り。
たくさんのことがありました。
その上、短大生の時に、事態(わたしの気持ち)は急変して。
夏樹くんと、────付き合うことになったのです。
今は、花音ちゃんの実家の花屋さんで働いています。