なつみかんの花びら
「ありがとな、柑夜の家で誕生日祝いしてくれて」
礼儀正しい人になってますしね!
わたしとの差が、広がっていきます。
「ううん、いいよ。
それより、どこにも行けなくていいの?」
「俺は柑夜とずっとこうしてた方がいい」
そう言った彼はわたしを後ろから抱えこみ、座りました。
う、動けません。
後ろからぎゅぅっ、と抱き締められていて。
耳には彼の息がかすかにかかります。
その上、夏樹くんの膝の上に乗せられたとなると、緊張が高まってしまうのも仕方がないでしょう。
「カッコよくなっちゃって……」
「ん?」
ぽそりと呟いた声は夏樹くんの耳には届きませんでした。
聞こえていたらちょっと恥ずかしすぎますしね。
よかったです。
「──お誕生日、おめでとう」