なつみかんの花びら
「こんなところ、来てて大丈夫?
今日は夏休み最後の日曜日でしょ。
あの子に逢いに行ってもいいよ?」
ウソ。行かないで。
「あの子……?」
「料理部部長の可愛い子。
黒髪が素敵で大人っぽくて。
夏樹のことが好きな子。
ケーキ、美味しかった?」
そう言った瞬間、いつの、誰の話をしているのかわかったらしく、彼は驚いて目を見開きます。
なんだかわたし、まるでストーカーみたいですね。
「おま、え。知って……」
「ごめんね、盗み聞きみたいになっちゃって。
この前、夏樹の家に行こうとしてたから」
心底呆れたような、重いため息にびくりと肩が震えました。
「バカだ、バカだと思ってたけど、ここまでバカだなんてな」