なつみかんの花びら
あっけらかんと言ってみせた夏樹くん。
少し嬉しそうなのは気のせいでしょうか。
「いっ、しょ……?」
「俺は、昔からすぐ妬いてるから。
お前は気づいてなかったんだろうけど。鈍いから。
俺ばっかりが好きなんだと思ってた」
……何だか、すごい口説き文句を言わているような気がしてきました。
「でも、今は違う。
やっと。やっと、追いついた」
「わたしのことなんて、とっくに抜かしてたよ。
だから、わたしは差が広がるのが恐くて」
「そんなこと気にしなくて、いいんだ」
コクコクと頷くと、髪をそっと撫でられます。