なつみかんの花びら
「……っ⁉」
驚いて体を離し、夏樹くんの顔を覗きこむと真剣な瞳と目が合いました。
そして差し出されるリングケース。
「今日、渡そうと思ってたんだ」
はにかみながら、笑った彼は昔と変わらず。
花が綻ぶような笑顔です。
なんだ。
あんなに考えてバカですね、わたし。
「はいっ──」
吸い寄せられるように、自然に唇が重なります。
「愛してる」
唇の上で囁かれた言葉に、抱き締められたような気持ちになりました。